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で、明日から何を触る?

7レッスンで地図を渡してきた。最後は明日から3ヶ月の行動指針と、AMPL Learnの第1層〜第5層への接続。研修医のあなたが迷わずに歩き出すための、最後の1枚。

で、明日から何を触る?

ここまで7レッスン、長く読んでもらった。

L01でドラえもんから始まり、L02でiPhoneとAlphaGoとChatGPTの3つの瞬間を見て、L03でアメリカの研修医の道具4本を並べた。L04でひとりで医療を立ち上げる人たちを見て、L05で影に降りた。L06で自国の遅さを構造で読み、L07で5年後の3シナリオを描いた。

景色は十分に見た。

最後のレッスンでは、明日から何をするか、を渡す。

研修医の時間は限られている。当直、外来、病棟、勉強、眠れない夜。ここに新しい習慣を入れるのは、簡単じゃない。だから、現実的に効く最低限だけを絞る。

『鬼滅の刃』の冨岡義勇が炭治郎に「判断が遅い」と言うときの、あの目線で読んでほしい。判断は、明日からだ。


1. 明日から3ヶ月の地図

3ヶ月で、研修医のあなたを「AIを業務に使えている医師」にする。

1ヶ月目 ── 触る

毎日30分、3つのAIを並行で触る。

  • ChatGPT(OpenAI)
  • Claude(Anthropic)
  • NotebookLM(Google)

3つとも無料か低額で使える。研修医のあなたが個人で契約できる範囲だ。

最初の1ヶ月の目的は「驚く」ことだ。仕事の知識を渡してみる。論文を放り込んでみる。鑑別を立てさせてみる。日本語の医療用語で、どこまで通じるか試す。間違えるパターンを記録する。

3つのAIで同じ質問を投げて、答えを比較する。これだけで、AIの個性と限界が見える。

2ヶ月目 ── 業務に組む

4つの医師業務に、AIを組み込む。

  • 鑑別診断(ChatGPT/Claudeに患者presentation を投げる、ただし匿名化必須)
  • 論文・ガイドライン検索(NotebookLMに30本入れて横断検索)
  • 退院サマリ・紹介状下書き(音声録音→AI文字起こし→AI整形)
  • カンファ・症例発表の準備(NotebookLMに資料を読ませて要約・図解)

ここで「自分の業務のうち、どこをAIに渡せるか」が体で分かる。多くの研修医にとって、退院サマリと論文検索でまず大きな時間が浮く。

守るべき1つのルール

AIを使う前に、まず自分で考える。L05で書いた Never-skilling を避けるためだ。順番を逆にしない。

3ヶ月目 ── 選ぶ

3ヶ月目は、自分用の道具を絞る。

3つのAIのうち、自分の業務に合う1〜2本を「主軸」にする。残りは保険として、必要なときだけ使う。プロンプトのテンプレートを5〜10個、自分のメモアプリに保存する。

ここで初めて、自分の医師としての作業フローが、AIで補強された状態になる。

3ヶ月後のあなたは、研修医3年目のスタートに、確実に違う場所にいる。


2. AMPL Learn の第1層〜第5層への接続

このコース(第0層)が終わったら、次にどのコースに行くか。

第1層から第5層まで、優先度別に並べる。

必ず取ってほしい(第1層・第2層)

研修医の時間で1ヶ月以内に通せる4本。これで第2層の入口に立てる。

ai-basics ── AIって結局なに?

第1層・批判的評価編。視界が出来た上で、AIの仕組みと限界を厳密に学ぶ。10章165分のアカデミック教材

コース
ai-amplifier ── AIはアンプである

第1層・哲学編。AIを『魔法の杖』と勘違いしない構えを作る。地力ある手の中でAIは増幅器になる

コース
chatgpt-101 ── ChatGPT入門

第2層。普及度No.1の道具を最低限使えるように。研修医に必須

コース
prompt-engineering-basics ── プロンプト基礎

第2層。質問の質がAIの答えの質を決める。プロンプトの型を5つ覚えるだけで生産性が変わる

コース

余裕があれば取ってほしい(第2層・第4層)

3ヶ月目以降に「もっと深めたい」と思った領域から取る。

claude-101 ── Claude入門

第2層。長文・コード・分析に強いAnthropicのClaudeを使い分ける

コース
gemini-101 ── Gemini入門

第2層。Google検索統合と画像理解が強いGeminiの使いどころ

コース
notebooklm-101 ── NotebookLM入門

第2層。論文30本を横断検索する研究者・臨床医の必携ツール

コース
tool-stack-101 ── ツール併用設計

第2層。複数ツールの組合せで生産性を最大化する考え方

コース
patient-communication-ai ── 患者説明とAI

第4層。医師業務に直結する患者説明・教育へのAI活用

コース

興味があれば取ってほしい(第3層・第5層)

「自分は将来こっち側に行きたい」と思ったら取る。全員に必須ではない。

claude-code-101 ── Claude Codeで自分の道具を作る

第3層。Custom GPTsやSkillsで、繰り返し作業を自分用に最適化する側に回る

コース
vibe-coding-101 ── Vibe Coding入門

第3層。現場の困りごとをアプリにする。コードが書けない医師でも作れる

コース
medical-ai-ethics ── 医療AI倫理

第5層。研修医が将来の指導医として知っておくべき倫理的論点

コース
ai-bias-fairness ── AIバイアスと公平性

第5層。バイアスの検出・評価・緩和。研究志向の医師にも必須

コース

3. 5つの「これだけはやめてほしい」

3ヶ月の習慣形成で、よくある落とし穴を5つ挙げる。

研修医のAI習慣 ── 5つの落とし穴

01

患者情報を素のまま投げる

絶対やってはいけない第一条

02

AIの答えを丸ごと信じる

2026年でもAIは間違える

03

自分で考える前にAIに聞く

Never-skilling直行コース

04

ひとつのAIだけに依存

バイアスが乗る

05

新しいAIが出るたびに乗り換える

作業フローが安定しない


4. 研修医のあなたへ ── 最後に

7レッスン読んで、ここまで来てくれてありがとう。

最後に、研修医のあなたに、僕個人から1通の手紙を置いておく。

このコースを書いた理由は、僕自身が研修医のころに欲しかった地図だったからだ。

「世界はこれくらい進んでいて、海の向こうではこれが起きていて、影はこういう側面で、自国はここで、5年後はこのあたりに着地する。だから、今これを触っておけ」

これを誰かが言ってくれていたら、僕の研修医時代の道具選びは、もう少し効率的だったと思う。

研修医の時間は、1日が長くて、5年が短い。気づいたら、後輩を指導する立場になっていて、自分が触り始めなかった道具のことを、後輩が当たり前のように使っている。

そのとき、後輩に頭を下げて教わるのは、悪いことじゃない。

ただ、できれば、後輩より少しだけ先を歩いていてほしい。

そのために、今夜、ChatGPTかClaudeを開いて、何かを試してほしい。

L01の冒頭で書いた「あ、SFじゃん」を、今夜あなたが感じたら、このコースは終わりだ。

地図を渡し終えた。

ここからは、あなたが歩く番だ。


このコースを終えた次の一歩

第1層へ ── ai-basics「AIって結局なに?」

僕の本気で書いた、AIの仕組みと限界の話が、165分待っている。視界が出来たあなたなら、あの硬さも面白く読めるはずだ

コース

──

書いた人: 岡本賢 2026年 春