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お客さんに向けてAIを使うとき

  • レッスン 5
  • 14分

このレッスンで

終わる頃には、次ができるようになります

  • お客さん向けの自動応答が失敗しやすいパターンを説明できる
  • できること・できないことを先に伝えるという考え方を使える
  • 人にすぐ引き継ぐ経路を、使い始める前に決めておける

社内向けの仕事でAIに慣れてくると、次はお客さんに向けて使いたくなります。よくある入り口は、メールやチャットへの自動応答です。

ただ、社内向けの仕事と違って、お客さん向けの失敗は自分が気づく前にお客さんの目に触れます。たとえば、問い合わせに何でも答えようとする設計で始めた店が、実際にない在庫を「あります」と答えてしまい、クレームにつながる、というようなことは起こり得ます。社内向けなら自分が読み直してから使う一呼吸がありますが、お客さん向けはその一呼吸がないまま届いてしまう点が違います。このレッスンでは、そうした失敗の型と、あらかじめ決めておくべき約束を扱います。


失敗しやすい型

お客さん向けの自動応答で起きやすい失敗には、共通する型があります。

お客さん向け自動応答の始め方

なんでも答えようとする

「できるだけ幅広く答えられるように」と設計して始める。分からないことにも、それらしく答えてしまい、事実と違う案内がそのままお客さんに届く。

できること・できないことを先に伝える

「営業時間の案内と、よくある質問への回答はします。在庫の詳細と予約の変更は、担当者にお繋ぎします」のように、最初に範囲を示す。範囲外は無理に答えず、人に引き継ぐ。

なんでも答えようとする設計は、一見親切に見えますが、範囲が広いほど、事実と違う案内をしてしまう可能性も広がります。最初から範囲を絞るほうが、結果として信頼を守れます。

範囲を絞ることは、お客さんに不親切という意味ではありません。「ここまでは即答できます、ここから先は担当者がお答えします」と伝えるほうが、あいまいな即答よりもお客さんの安心につながることが多いものです。


先に決める3つの約束

使い始める前に、次の3つを決めておきます。

使い始める前に決める3つの約束

1

できること・できないことを伝える

対応できる範囲を最初に示し、範囲外は無理に答えない

2

人への引き継ぎ経路を残す

判断が難しい・お客さんが不満そうといった場合に、すぐ人に渡せる仕組みを用意する

3

AIが応対していることを隠さない

自動応答であることを、お客さんが分かる形で示す

3つとも、あとから直すより、使い始める前に決めておくほうが手間が少なくて済みます。特に2つ目の引き継ぎ経路は、失敗が起きたときの被害を大きく左右します。引き継ぎの連絡が誰にも届かないまま放置される、という状態がいちばん避けたい事態です。担当者が休みの日はどうするか、といった細部まで含めて決めておくと安心です。


範囲を絞って始める

最初から全部のやり取りを任せるのではなく、対応できる範囲を絞って始め、様子を見ながら少しずつ広げます。

01

よくある質問だけに絞る

営業時間・場所・基本的な料金など、答えが決まっている質問から始める

02

やり取りの記録を見る

実際にどんな質問が来て、どう答えたかを振り返る

03

うまくいっているところを見つける

問題なく対応できている質問の種類を確認する

04

少しずつ範囲を広げる

うまくいっている範囲の隣から、対応できる質問を増やしていく

範囲を絞って始める流れ

範囲を広げるかどうかの判断は、感覚だけでなく、やり取りの記録を実際に見返してから決めてください。うまくいっていない範囲を広げてしまうと、失敗も一緒に広がります。逆に、うまくいっている範囲を広げずに抱え込みすぎるのも、せっかくの手間の削減を活かせていないことになります。記録を見返す時間を決めておくと、広げる・広げないの判断が惰性にならずに済みます。

注意

金銭や予約の変更は、最初は人が引き取る

支払いの確認や予約の変更のように、間違えるとお客さんに直接損害が及ぶ仕事は、自動応答の対象から外し、最初は人が引き取るところから始めてください。「範囲を絞って始める」という考え方は、対応できる質問の種類だけでなく、金銭が絡む種類の仕事を最初から除外する、という形でも使えます。AIがやること・人がやることの線引きは、次のレッスンでさらに詳しく扱います。


やってみよう

演習1:できること・できないことを書き出す

自分の会社でお客さんに向けてAIを使うとしたら、対応できる範囲を3つ、対応できない・したくない範囲を2つ、書き出してください。対応できない範囲については、誰に引き継ぐかも添えます。

演習2:人への引き継ぎ経路を決める

「こういう場合は人に引き継ぐ」という条件を1つ決めてください。誰が引き継ぎを受け、どれくらいの時間で対応するかも、簡単に書いておきましょう。担当者が不在の日にどうするかまで書けると、より実際に使える形になります。


今日のまとめ

3行で振り返ります。

  • なんでも答えようとする設計より、できること・できないことを先に伝える設計のほうが信頼を守れる
  • 使い始める前に、対応範囲・引き継ぎ経路・自動応答であることの明示、の3つを決めておく
  • よくある質問など狭い範囲から始め、やり取りの記録を見てから少しずつ広げる

次のレッスンでは、AIがやることと人がやることをどう分けるか、金銭と対外送信の線をどこに引くかを整理します。

セルフチェック

1. お客さん向け自動応答で起きやすい失敗について、本文が説明しているのはどれですか。

2. 使い始める前に決めておく3つの約束に含まれないものはどれですか。

3. 範囲を広げる判断について、本文が勧めているのはどれですか。

SourceAMPL LEARN
任せる前に:権限、向かない仕事、確かめ方

自動化を避けるべき仕事の見分け方と、任せる前の確かめ方を扱うレッスン

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