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月の数字を説明させる

  • レッスン 3
  • 15分

このレッスンで

終わる頃には、次ができるようになります

  • 予算と実績の差から、閾値を決めて重要な項目だけを説明させられる
  • 誰に見せるかによって、同じ数字の説明を書き分ける判断ができる
  • 先の見通しをベース・上振れ・下振れの3通りで作らせ、前提の違いを確かめられる

会計ソフト(freeeなど)から月次の試算表を出しても、それをそのまま眺めて意味を読み取るのは骨が折れます。数字は出てきても、何が起きているのかは別に考えないといけません。

このレッスンでは、月の数字を会計ソフトから読み込ませて、何が起きているかを言葉で説明させる方法を扱います。あわせて、先の見通しを1つの数字ではなく3通りで持っておく作り方も見ていきます。

多くの小さな会社では、月末に帳簿を締め、翌月の早い時期に前月の数字を確認する、というリズムで動いています。このリズムの中に「数字を読んで言葉にする」作業を組み込んでおくと、締めた直後にその月の要点がすでに分かった状態で次の月に入れます。

注意

税・労務の判断はここでは扱いません

このレッスンで扱うのは、数字の動きを読んで説明させるところまでです。税額の計算や労務の判断そのものは、税理士・社会保険労務士など専門家に確認してください。


閾値を決める:全部の差を追わない

予算と実績を比べると、たいてい大小さまざまな差が出ます。すべてを同じ重さで説明させると、大事な差が細かい差に埋もれてしまいます。

差の説明のさせ方

閾値を決めない

「予算と実績の差を全部教えて」と頼むと、数百円の差から数十万円の差まで同じ調子で並ぶ。量が多く、結局どこが重要か自分で読み直すことになる。

閾値を決める

「前月比で一定の割合、または一定の金額を超えて動いた項目だけ」と条件をつける。数は絞られ、大きく動いた項目から順に目が行く。

閾値の具体的な数字は会社の規模によって変わるので、ここでは決めた数字を書きません。自分の会社なら「これくらい動いたら気になる」という感覚を、まず自分の言葉にしてから頼み方に落とし込んでください。

たとえば印刷業のように材料費の比率が高い商売であれば、用紙代やインク代の動きは小さな変化でも見逃したくないはずです。一方で、消耗品費のような細かい費目は、多少動いても毎月説明させる必要はないかもしれません。閾値は費目ごとに変えてもかまいません。すべての費目に同じ基準を当てはめようとすると、かえって見たいものが埋もれてしまいます。


誰に見せるかで書き分ける

同じ数字でも、誰が読むかで書き方は変わります。

読み手別の書き分け

1

自分用

数字と、動いた理由の見当だけを簡潔に。細かい言い回しは気にしなくていい

2

会計士・税理士向け

仕訳の疑わしい箇所や、確認してほしい伝票を具体的に示す。判断は専門家に委ねる書き方にする

3

取引先・金融機関向け

言葉を整え、断定を避け、事実と見込みを分けて書く

同じ材料から3種類の説明を作るのは、一から3回書くよりずっと速く済みます。ただし、読み手によって強調する点が変わるので、「誰向けに書くか」は毎回頼み方に含めてください。

書き分けを怠ると、専門用語まじりの説明が取引先にそのまま届いたり、逆に取引先向けの丁寧すぎる言い回しが、自分用のメモとして残ってしまったりします。読み手を指定するだけの一手間で、こうした食い違いはほとんど防げます。


先の見通しを3通り作る

先の見通しを1つの数字だけで持っていると、外れたときに手を打つのが遅れます。ベース・上振れ・下振れの3通りを並べておくと、状況が変わったときにどちらへ動いているかがすぐ分かります。

01

ベースを作る

これまでの実績をそのまま延ばした、いちばんありそうな見通し

02

変える前提を1つ選ぶ

売上の伸び、仕入れ値、入金の遅れなど、動きそうな前提を1つに絞る

03

上振れ・下振れを作る

選んだ前提だけを良い方向・悪い方向に振って、2つの案を作る

04

前提を書き添える

何が違うとどちらの見通しになるかを、1行で添える

3通りの見通しを作る流れ

ケースごとに変える前提を1つに絞るのが要点です。複数の前提を同時に動かすと、結果が変わった理由が分からなくなります。

3通りの見通しを頼むテンプレート
〔これまでの月次実績〕を読み込んで、今後〔◯か月〕の見通しをベース・上振れ・下振れの3通りで作ってください。

ベースはこれまでの実績をそのまま延ばした案にしてください。
上振れ・下振れは〔売上の伸び/仕入れ値/入金の遅れなど、変えたい前提を1つ書く〕だけを動かしてください。
他の前提は3つとも同じにしてください。

それぞれの案がどんな前提の違いから生まれたかを、1行で添えてください。

3通りの見通しができたら、そのまま資料に貼るのではなく、まず自分の感覚と照らしてください。ベースの数字が実感と大きくずれているなら、読み込ませた実績データ自体に抜けがないかを先に疑うべきです。


やってみよう

演習1:自分の閾値を言葉にする

「これくらい動いたら気になる」という感覚を、割合か金額のどちらかで自分の言葉にしてください。売上のように毎月大きく動く費目と、消耗品費のように細かい費目とで、別の閾値になってもかまいません。決めた閾値を、演習として実際に頼み方に入れて、結果が絞られるかどうかを試してみましょう。

演習2:前提を1つだけ選ぶ

自分の会社で、今後いちばん動きそうな前提を1つ選んでください。売上の伸び方かもしれませんし、仕入れ値や入金のタイミングかもしれません。それを上振れ・下振れそれぞれどちらの方向に振るとどうなるか、簡単に書き出してみましょう。


今日のまとめ

3行で振り返ります。

  • 予算と実績の差は、閾値を決めて重要な項目だけを説明させる
  • 同じ数字でも、自分用・専門家向け・取引先向けで書き分ける
  • 先の見通しはベース・上振れ・下振れの3通りを持ち、変える前提は1つに絞る

次のレッスンでは、顧客の情報をAIに渡す前に、何をどう扱うかを見ていきます。

セルフチェック

1. 予算と実績の差を説明させるとき、本文が勧めている工夫はどれですか。

2. 先の見通しを3通り作るとき、本文が注意している点はどれですか。

3. 月の数字を説明させることについて、本文が明記している注意はどれですか。

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