このコースでは、最初に任せる仕事の選び方から、週のはじめのまとめ、数字の説明、顧客データの扱い、お客さん向けの応対、AIと人の役割分担までを見てきました。最後のレッスンでは、決めてきたことを1枚の方針にまとめます。
1枚にまとめる理由は単純です。頭の中にあるだけでは、自分以外の誰にも伝わりません。スタッフが増えるほど、同じ判断を毎回口頭で説明するのは無理があります。1枚の紙にしておけば、新しく入った人にも渡せますし、迷ったときに立ち返る場所にもなります。
経営者が全部の判断を覚えていて、聞かれるたびにその場で答える、というやり方は、会社が小さいうちは成り立ちます。ただ、経営者が不在のときに同じ判断ができるかどうかを考えると、書いておく価値がはっきりします。
方針に入れる項目
これまでのレッスンで決めてきたことを、次の5項目に整理します。
レッスン1で決めた基準に沿って、任せてよい仕事の例と、任せない仕事の例を挙げる
レッスン4で決めた、伏せる基準と確かめ方を書く
レッスン6で決めた、最後に人が押す仕事と、誰が押すかを書く
レッスン5で決めた、自動応答であることの明示と、人への引き継ぎ経路を書く
いつ、誰が、この方針を見直すかをあらかじめ決めておく
5項目すべてを詳しく書く必要はありません。むしろ、1枚に収まる分量に削ることが大事です。細かすぎる方針は、結局読まれずに終わります。
項目を埋めていくと、つい例外的なケースまで書き込みたくなりますが、例外は方針の本体に入れず、必要になったときに個別に相談する形にしておくほうが、全体の見通しがよくなります。
1枚にまとめる頼み方
これまでの演習で書いてきたメモをそのまま材料にして、方針の下書きを作らせます。ゼロから文章を組み立てるより、箇条書きのメモを渡して整えてもらうほうが、自分の言葉のニュアンスも残りやすくなります。
以下は、うちの会社でAIの使い方について決めたことのメモです。
これを、社員に配れる1枚のAI利用方針としてまとめてください。
【使ってよい場面・使わない場面】
〔レッスン1の演習で書いたことを貼る〕
【顧客情報の扱い方】
〔レッスン4の演習で書いたことを貼る〕
【金銭・対外送信の最終承認者】
〔レッスン6の演習で書いたことを貼る〕
【お客さんに向けて使うときに伝えること】
〔レッスン5の演習で書いたことを貼る〕
条件: A4用紙1枚に収まる分量。見出しと箇条書き中心で、専門用語は避けてください。下書きができたら、そのまま配らず、次の節で見る手順を踏んでください。AIが整えた文章は読みやすく仕上がりますが、読みやすさと、自分の会社の実態に合っているかどうかは別の話です。
スタッフと確かめ、見直す
下書きは、経営者一人の目だけで完成させず、実際に使うスタッフに見せて確かめます。
方針を仕上げるまでの3段階
スタッフに見せる
下書きを実際に読んでもらい、分かりにくい箇所や、現場の実態と違う箇所を指摘してもらう
意見を反映する
出た意見をもとに、表現や項目を直す
次の見直し日を決める
半年後、1年後など、次に見直すタイミングをあらかじめカレンダーに入れておく
方針は一度作って終わりではありません。使ってみて初めて分かる不都合が必ず出てきます。次の見直し日を先に決めておくことで、「そのうち直そう」のまま放置される事態を防げます。新しく入ったスタッフに渡すタイミングも、見直しのきっかけとして使えます。読んだ人が引っかかった箇所は、そのまま次の見直しの材料になります。実際に使ってみて初めて気づく違和感のほうが、最初に想像していた懸念よりずっと具体的です。
補足
方針は増やすより、削るほうを優先する
使ってみて項目が増えていくと、方針はだんだん長くなりがちです。見直しのたびに、足すことより削ることを優先してください。誰が読んでも分かる、必要最小限の分量を保つほうが、実際に読まれる方針になります。
やってみよう
演習1:5項目を自分の言葉で埋める
これまでのレッスンで書いた演習のメモを見返しながら、5項目それぞれを1〜2行で自分の言葉にまとめてください。まだ決めきれていない項目があれば、「未定」と書いて残しておいて構いません。無理に埋めるより、決まっていないことをはっきりさせておくほうが、あとで見直すときに役立ちます。
演習2:見直しの頻度を決める
この方針を、いつ・誰が見直すかを決めてください。決めたら、実際にカレンダーやスケジュールに登録しておきましょう。一人で経営している場合も、見直しの予定だけは自分宛てに残しておくと、後回しにならずに済みます。
今日のまとめ
3行で振り返ります。
- 方針は、使ってよい場面・顧客情報の扱い方・金銭と対外送信の最終承認者・お客さん向けに伝えること・見直しの頻度の5項目に整理する
- 下書きは自分だけで完成させず、スタッフに見せて意見を反映する
- 次の見直し日をあらかじめ決めておき、方針は増やすより削ることを優先する
このコースでは、最初に任せる仕事の選び方から、方針を1枚にまとめるところまでを一通り見てきました。実際の仕事に使いながら、Claudeに仕事を任せる(Cowork)のコースで操作を深め、AIの答えを確かめるのコースで確かめ方を身につけていくと、このコースで決めたことがより実務に馴染んでいきます。
セルフチェック
1. AI利用方針に入れる5項目に含まれないものはどれですか。
2. 方針の下書きを仕上げる手順として、本文が勧めているのはどれですか。
3. 方針を見直すときの考え方として、本文が勧めているのはどれですか。