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役割と語調を指定する

  • レッスン 5
  • 13分

このレッスンで

終わる頃には、次ができるようになります

  • 役割を指定して、答えの視点を変えられる
  • 語調を指定して、フィードバックの厳しさや順番を調整できる
  • 役割指定をブレインストーミングや批評の場面で使える

ここまでの4つの技法は、依頼の中身をどう組み立てるかでした。ここでは、AIにどんな立場で答えてほしいかを指定する、役割と語調の技法を扱います。


役割を指定すると、視点が変わる

「新人スタッフに説明する接客担当として」「厳しめの編集者として」のように、誰として答えてほしいかを指定すると、同じ質問でも返ってくる視点が変わります。

企画書のレビューを頼む例

前の頼み方(役割指定なし)

「この企画書を見て、感想を教えて」と頼むと、全体的に丁寧だが当たり障りのないコメントが返ってくることが多くなります。読み手が誰かを指定していないため、AIは無難な一般論に落ち着きやすくなります。

後の頼み方(役割指定あり)

「この企画書を、初めて聞く投資家の立場で読んで、疑問に思う点を3つ挙げて」と頼むと、「投資家」という視点から、資料に書かれていない前提への疑問が具体的に出てきます。

変わったのは「誰として読むか」の一言だけですが、返ってくるコメントの中身が変わります。前の頼み方は書き手であるこちら自身の視点に近いコメントに留まりやすく、後の頼み方は読み手の視点に立った、資料に書いていない疑問が出てくる点が違いです。

役割は職業名である必要はありません。「初めてこの分野を聞く人」「時間がない読み手」のような、視点そのものを指定する使い方もできます。

役割を指定するときに気をつけたいのは、役割を借りても、AIの答えの正確さそのものが上がるわけではない、という点です。「投資家の視点」を指定すれば投資家が気にしそうな観点で疑問を挙げてはくれますが、その疑問への答えが事実として正しいかどうかは、また別に確かめる必要があります。役割指定は視点を広げる道具であって、正確さを保証する道具ではありません。

役割は1つに絞る必要もありません。「投資家であり、同時に長年の顧客でもある立場」のように、複数の関心を1人に重ねて指定することもできます。ただし重ねすぎると、どの視点で答えているのか曖昧になりやすいため、2つ程度に留めるのが扱いやすい範囲です。


語調を指定して、フィードバックの厳しさを調整する

役割と並んで使いやすいのが語調の指定です。「率直に、遠慮なく指摘して」と「まず良い点から伝えて、それから改善点を」では、同じ内容でも返ってくる言い回しが変わります。

前の頼み方(語調指定なし)
このスライドを、初めてこの授業を受ける学生の立場でレビューしてください。

役割は指定できていますが、語調までは指定していません。この場合、AIは良い点と改善点を両方バランスよく挙げようとするため、いちばん直したい箇所が他のコメントに埋もれがちです。

後の頼み方(語調を足す)
このスライドを、初めてこの授業を受ける学生の立場でレビューしてください。分かりにくい箇所、説明が飛んでいる箇所を、遠慮なく指摘してください。良い点のコメントは不要です、改善点だけで構いません。

「良い点のコメントは不要」と添えるだけで、返ってくるコメントは改善点だけに絞られ、直すべき箇所がすぐ分かる形になります。人に頼むときは気が引ける言い方でも、AI相手なら遠慮なく指定できます。逆に、初めての試みでまず自信をつけたい場面では、「まず良い点から、それから改善点を1つか2つだけ」のように順番を指定する使い方もできます。


役割を切り替えてブレインストーミングする

役割の指定は、レビューだけでなくアイデア出しの場面でも使えます。同じ相談に対して、異なる役割を順番に割り当てると、1人で考えるより幅の広い案が集まります。

役割を切り替える依頼の例
来月の部内交流イベントの企画案を3つ考えたい。1つ目は「予算を切り詰めたい経理担当」の視点、2つ目は「参加率を上げたい若手社員」の視点、3つ目は「準備の手間を減らしたい幹事」の視点で、それぞれ1案ずつ挙げてください。

同じ相談でも、視点を変えて並べると、優先順位をつけるときの材料が増えます。人に何人も相談するかわりに、役割を切り替えて1人で壁打ちする使い方だと考えてください。

役割を3つ以上並べるときは、それぞれの役割が何を優先しているかを一言添えておくと、案どうしが混ざりにくくなります。「経理担当は予算」「若手社員は参加率」のように、役割と優先事項をセットで書くのがコツです。

役割と語調は、同じ依頼の中で組み合わせて使えます。「投資家の立場で、率直に疑問点を挙げて」のように1文にまとめれば、視点と言い回しの両方を一度に指定できます。どちらか一方だけでは足りないと感じたときは、組み合わせを試してみてください。


やってみよう

演習1:役割を変えて同じ依頼を出す

今取り組んでいる資料や文章について、役割を指定しない頼み方と、役割を指定した頼み方の両方を書いてみてください。

演習2:語調を言葉にする

「率直に」「まず良い点から」以外に、自分がよく欲しい語調を1つ言葉にしてみてください。


今日のまとめ

3行で振り返ります。

  • 役割を指定すると、同じ質問でも返ってくる視点が変わる
  • 役割は職業名でなくてもよく、視点そのものを指定する使い方もできる
  • 語調を指定すると、フィードバックの厳しさや順番を調整できる

次のレッスンでは、頼み方そのものをAIと一緒に作る技法を見ていきます。

セルフチェック

1. 企画書のレビュー例で、役割指定なしの依頼に起きやすいこととして本文が説明しているものはどれですか。

2. 本文が説明する「役割」の指定について、正しいものはどれですか。

3. 「良い点のコメントは不要です、改善点だけで構いません」という一言について、本文の位置づけとして正しいものはどれですか。

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