ここまで6つの技法を見てきました。最後に、それでも思うような答えが返らないときの立て直し方と、このコース全体の締めくくりを扱います。
うまくいかないときの手
答えが的外れだったり、浅かったりしたとき、最初からすべて書き直す前に試せる手がいくつかあります。
文脈と自分が誰かのレッスンで見た3段階を、もう一段深く育てる
言葉で説明しにくかった部分を、見本で示す
一度に頼んでいた内容を、複数の依頼に分ける
役割を変える、条件を足すなど、これまでの技法を掛け合わせる
1つに絞らず、3通り出してもらってから選ぶ
文章でなく対話形式や表など、別の出し方を試す
「これはどれくらい確かですか」と添えて、鵜呑みにしない
こじれた会話を直すより、新しく始めたほうが早いことがある
全部を毎回試す必要はありません。答えが「浅い」と感じたら具体性や見本、「話がかみ合わない」と感じたら会話のやり直し、というように、症状に応じて手を選んでください。
1つずつ手を当ててみる
うまくいかなかった頼み方に、手を1つずつ当てて直していく流れを見てみます。同じ会話の中で、続けて送るイメージです。
これだけでは、対象も予算感も伝わらず、当たり障りのない一般的な企画書が返ってきます。ここでいきなり書き直すのではなく、症状に近い手を1つ足します。
内容は具体的になりましたが、文面が社内向けにしては硬すぎると感じたとします。次はもう1つ、症状に合う手を足します。
1手目で内容の的外れを直し、2手目で文体のずれを直しました。一度にすべてを直そうとせず、症状ごとに手を1つずつ足していくほうが、どの手が効いたのかも見えやすくなります。
よくある失敗4つ
- AIが心を読めると思って、省略しすぎる
- 関連しない仕事を1回の依頼に詰め込む
- 「成功した状態」がどんな形か、自分でも曖昧なまま頼む
- 前の答えへのフィードバックを返さず、毎回ゼロから頼み直す
4つ目は見落とされがちですが、地味に効きます。前の答えの良かった点・直したい点を一言添えるだけで、次の答えの精度が上がります。これは、AIの答えをどう見るかという評価力とも重なる部分で、次に学ぶAIの答えを確かめるのコースで詳しく扱います。
たとえば「もっと簡潔に」とだけ言われて書き直しても、どこが冗長だったのかが分からなければ、次も同じところを厚く書いてしまいます。「導入の背景説明が長すぎた、そこを削って」のように、直したい箇所を一言添えるだけで、AIは次回から同じ癖を繰り返しにくくなります。
技法は古くなる、原則は残る
ここで扱った6つの技法の中には、モデルの進歩によっていずれ不要になるものもあります。段階に分けなくても、AIが自分で手順を組み立てるようになるかもしれません。
それでも、目的を明確にする、相手が知っている前提を意識する、答えを鵜呑みにせず確かめる、といった良いコミュニケーションの原則は、技法が変わっても残ります。頼み方に正解を1つ覚えるのではなく、実験を続けることが、いちばん長く使えるやり方です。
最初のレッスンで、頼み方は新しい同僚に伝える作業だとたとえました。同僚は仕事を重ねるうちに、あなたの好みや職場の勝手を覚えていきます。AIとの頼み方も同じで、一度で完璧な依頼を書こうとするより、試して直してを繰り返すほうが、結果的に早く狙った答えに近づきます。
このコースで扱った技法をもっと基本から確認したい場合はプロンプトエンジニアリングとは、目的・読み手・形式・制約という短い型でまず試したい場合はよりよい結果を引き出す頼み方を参照してください。
やってみよう
演習1:症状から手を選ぶ
最近、思うような答えが返らなかった経験を1つ思い出し、原因は「具体性不足」「見本不足」「一度に頼みすぎ」「フィードバック不足」のどれに近いか考えてみてください。
演習2:自分の失敗パターンを1つ選ぶ
よくある失敗4つのうち、自分がいちばんやりがちなものを1つ選び、次に頼むときにどう直すか、一言決めてみてください。
今日のまとめ
3行で振り返ります。
- 答えが的外れなときは、具体性・見本・段階分け・別形式・確信度・やり直しなど、症状に応じた手を選ぶ
- よくある失敗は、心を読めると思う、詰め込みすぎる、成功の姿が曖昧、フィードバックを返さないの4つ
- 技法は古くなっても、目的を明確にし答えを確かめるという原則は残る
これでこのコースは終わりです。次は、AIの答えをどう確かめるかを扱うAIの答えを確かめるのコースに進んでください。
セルフチェック
1. 「答えが浅い」と感じたときに、本文が例として挙げている立て直しの手はどれですか。
2. 本文が挙げる「よくある失敗4つ」に含まれないものはどれですか。
3. 「技法は古くなる、原則は残る」という締めくくりについて、本文の説明として正しいものはどれですか。