月次の予算実績会議の前には、差の大きい科目を洗い出してコメントを付ける作業があります。理由を説明できないまま「〜と思われます」で済ませると、会議で突っ込まれます。
かといって、担当者に聞く前から理由を断定してしまうのも危険です。差が出た本当の理由は、たいてい現場の担当者しか知りません。
ここでは、予算実績表をClaudeに渡し、差が大きい科目を挙げ、考えられる要因を「要確認」の仮説として整理し、担当者に聞く質問と会議用のコメント案までをまとめて出してもらう頼み方を紹介します。
Excel・CSVの添付と分析
科目別の予算額と実績額の一覧(月次または累計)。勘定科目の定義があれば添える
15分
1. 頼み方
そのまま使えるプロンプトです。〔 〕の部分を自分の会社の基準に置き換えて、後ろに予算実績表を添付してください。
添付は今月の科目別予算実績表です。
予算と実績の差額・乖離率を科目ごとに計算し、
差が大きい上位〔5〕科目を挙げてください。
各科目について、考えられる要因を書いてください。
ただし断定はせず、必ず「〜の可能性がある(要確認)」
という書き方にしてください。差が出た理由を、
確認していないのに確定した事実として書かないでください。
次に、各科目の担当者に確認したい質問を1つずつ挙げてください。
最後に、〔月次予算会議〕で読み上げるコメント案を、
事実(差額の大きさ)と要確認の仮説を分けて4行程度でまとめてください。「要確認」という言葉をわざわざ指示に入れているのには理由があります。理由は「5. うまくいかないとき」で触れます。
2. 渡すもの
このレシピに渡すのは、次のようなものです。
- 科目別の予算額と実績額の一覧(月次・累計いずれも可)
- 勘定科目の定義や、部門ごとの内訳(あれば)
- 前年同月の実績(比較したい場合)
Excel(.xlsx)をそのまま渡して集計させる場合は、設定の「Capabilities」にある「コード実行とファイル作成」がオンになっている必要があります。渡す前に一度、その画面でオンになっているか確認してください。CSVであればこの設定がなくても読み込めます。
取引先名や契約金額の細部など、社外に出せない情報はそのまま渡さないでください。 科目単位の集計に必要なのは金額と乖離であって、個別の契約条件ではありません。取引先名を伏せたい場合は、渡す前に取引先Aのような仮名に置き換えます。
3. 返ってくるもの
戻ってくるのは、差が大きい科目の一覧と、そこに続く仮説・質問・コメント案です。架空の例で示すと、次のような形になります。
| 科目 | 予算 | 実績 | 乖離率 | 要因(要確認) |
|---|---|---|---|---|
| 広告宣伝費 | 500万円 | 720万円 | +44% | 新商品の告知を前倒しした可能性(要確認) |
| 旅費交通費 | 80万円 | 35万円 | -56% | 出張予定が翌月にずれた可能性(要確認) |
| 消耗品費 | 40万円 | 62万円 | +55% | 在庫を前倒しで購入した可能性(要確認) |
考えられる要因は、科目名や増減の方向・時期から一般的に想定できるパターンをもとにした推測にすぎません。その科目の担当者しか知らない事情(急な人員の異動、取引先都合のずれなど)までは、表の数字だけを見ても分かりません。だからこそ、次に挙げる質問で担当者に直接確認する工程が要ります。
担当者に確認したい質問(架空の例):
- 広告宣伝費: 前倒しした施策名と、当初予定していた実施時期を教えてください
- 旅費交通費: ずれた出張は翌月に実施予定でしょうか、それとも取りやめでしょうか
会議用コメント案(架空の例):
「広告宣伝費は予算比44%増です。新商品告知の前倒しが要因と見ていますが、担当部門への確認はまだです。旅費交通費は56%減で、出張の後ろ倒しの可能性がありますが、これも未確認です。」
これはあくまで架空の例です。実際の科目名や乖離率は、渡した予算実績表の中身に応じて変わります。
4. 続けて頼むこと
一覧ができたら、同じ会話のまま続けて頼めることが2つあります。
来月の見込みは、担当者への確認が済む前の「読み合わせ用の叩き台」として使えます。グラフ化は、数字の一覧だけでは伝わりにくい差の大きさを、会議の場で一目で見せたいときに役立ちます。
5. うまくいかないとき
理由を推測で断定させない
差が出た理由は、実際には現場の担当者にしか分かりません。プロンプトで「要確認」と指示しても、出てきた文章の途中で「〜のためです」という言い切りに変わっていないか、必ず読み返してください。会議用のコメント案は特に、事実と仮説が混ざりやすい部分です。
数字の検算
乖離率や合計金額は、Claudeが計算した数字をそのまま資料に使う前に、元の予算実績表と一度照合してください。累計と単月が混在した表を渡すと、どちらを差し引いた乖離率なのか取り違えることがあります。ずれがあれば「単月の実績から単月の予算を引いた乖離率で出し直して」と頼み直せば直ります。
もう一つ、「差が大きい」を額で見るか率で見るかでも、上位に挙がる科目は変わります。予算100万円に対し実績110万円の科目は乖離率10%ですが、予算5万円に対し実績15万円の科目は乖離率200%です。会議で見たいのが金額のインパクトなら「差額が大きい上位」、比率としての異常値なら「乖離率が大きい上位」と、1節のプロンプトに明示して頼み直してください。
社外秘の扱い
予算実績表には、取引先名や交渉中の金額など、社外に出せない情報が含まれることがあります。科目単位の集計に個別の契約条件は不要なので、渡す前に伏せられる箇所は伏せてください。会社の契約プランによっては、会話をモデルの学習に使わない設定を管理者側で決めていることもあります。心配な場合は、情報システム部門か、あらかじめ決まっている社内ルールを確認してください。