同じ研修テーマでも、受け手によって知っておいてほしい深さは違います。初めて学ぶ人には手順だけを、経験者にはその手順の背景や例外まで伝えたい。けれど教材を段階ごとに作り分けるとなると、同じ内容を何度も書き分ける手間がかかり、結局1つの版を全員に配ってしまうことも少なくありません。
このレシピでは、手元にある1つの教材を渡すだけで、初級・中級・上級の3段階の版と、それぞれの到達目標を一度に作らせる頼み方を紹介します。学校で生徒の習熟度に合わせて教材を出し分ける先生にも、会社で新人と中堅で内容を変えたい研修担当者にも使える形です。
元教材の添付、Word文書としての出力(設定でファイル作成をオンにしておく)
元になる教材や資料の全文、段階ごとの対象者のイメージ(前提知識・経験年数など)
3段階の下書きが出るまで15分程度
1. 頼み方
元になる教材を添付したうえで、次のように頼みます。〔 〕の部分は自分の教材に置き換えてください。
添付した〔教材名、例:情報セキュリティ研修資料〕をもとに、
初級・中級・上級の3段階の教材を作ってください。
各段階について、次の2点を明記してください。
1. 到達目標(この段階を終えると何ができるようになるか)
2. 教材の本文(元の内容から、難易度に応じて言葉づかいと
情報量を調整したもの)
初級は〔対象、例:入社したばかりで専門用語を知らない人〕、
上級は〔対象、例:応用的な判断まで求められる人〕を読み手として
想定してください。
それぞれWord文書として出力してください。難易度の基準を先に数字や対象者像で渡したほうが、3段階の境目がはっきりします。「初級はやさしく」だけでは、どこまでやさしくするかはClaude任せになってしまいます。
2. 渡すもの
渡すのは、元になる教材や資料の全文です。ファイルとして添付するか、本文をそのまま貼り付けます。同じ教材を毎年使い回すなら、プロジェクトにまとめておくと、次の年も同じ資料から作り直せます。
Word文書として出てこず、会話の中に文章だけ返ってくる場合は、設定でファイル作成の機能がオフになっている可能性があります。オンにする場所はアーティファクト:会話から使えるものを作るで確認できます。
注意
自分の教材でないものは、権利を確かめてから渡す
書籍の抜粋や、購入した研修教材、他の講師・教員が作った資料をそのまま添付して作り分けると、著作権にふれるおそれがあります。作り分けてよいのは、自分や自組織が作成・保有している教材、または再配布・改変が認められている教材に限ります。迷ったら、権利元に確認してから進めてください。
3. 返ってくるもの
各段階の到達目標と教材本文が、段階ごとに分けて返ってきます。以下は架空の例です。実在の研修資料ではありません。
- 初級 到達目標: 「パスワードを他人に教えてはいけない理由と、社内規定の基本ルールを言える」
- 中級 到達目標: 「規定にない場面でも、リスクの高さを自分で見分けて相談先を選べる」
- 上級 到達目標: 「新人からの質問に、規定の背景まで含めて説明できる」
本文の分量も段階に応じて変わり、初級は用語の説明を厚くした短い文章、上級は前提を省いた分だけ判断が必要な事例が増える、といった形で返ってきます。実際の内容は、渡した教材と指定した対象者像によって変わります。
4. 続けて頼むこと
3段階の下書きができたら、同じ会話に続けてもう2つ頼めます。
確認問題を段階ごとに作り込む続きは、研修資料から確認テストを作るで詳しく扱います。
図解を作り込むところは、動かして学べる図解を作るで扱っています。ここではまず、文章と図の両方が要ることを確かめる程度で十分です。
5. うまくいかないとき
内容の正しさは原典で確かめる
言葉づかいをやさしくする過程で、専門用語の言い換えが微妙にずれたり、数字が丸められたりすることがあります。特に初級版は書き換える量が多く、変化が起きやすい箇所です。配る前に、元の教材と1段階ずつ照合してください。
段階の差が小さいと感じたとき
3段階を並べてみて、初級と中級の文章がほとんど同じに見えることがあります。多くの場合、対象者像の指定が「初級はやさしく」のような抽象的な言葉に留まっています。1節のテンプレートのように、対象者の経験年数やすでに知っている前提を具体的な言葉に直して頼み直すと、段差がはっきりします。
到達目標と本文がずれていないか
各段階の到達目標は、本文を読み終えたら実際にできるようになることでなければなりません。到達目標だけ立派で本文がそこまで届いていない、逆に本文の方が到達目標より詳しすぎる、という食い違いが起きることがあります。段階ごとに到達目標と本文を並べて読み、目標どおりの内容になっているかを確かめてください。