就業規則や経費規程を改定するとき、総務・法務の担当者は「どの条がどう変わったか」を一覧できる新旧対照表を用意します。改定前の条文と改定後の条文を並べ、条ごとに変更の要旨を添える書類です。
この対照表を、条文を一字ずつ目で追いながら手作業で作ると、規程が長いほど時間がかかります。似た表現の言い回しだけが変わった条と、金額や日数そのものが変わった条を見分ける作業も、集中力が要ります。
このレシピでは、改定前と改定後の2つのファイルを添付するだけで、条ごとの新旧対照表のたたき台を作らせます。
旧規程・新規程の2ファイルの添付。表としての出力、またはWord文書としての出力
改定前の規程本文と、改定後(案)の規程本文の2ファイル(社外秘の扱いを確認したもの)
対照表のたたき台が出るまで10〜15分程度
1. 頼み方
旧規程と新規程(改定案)の両方を添付したうえで、次のプロンプトを送ってください。〔 〕の中は自分の場面に置き換えます。
添付した2つのファイルは、〔規程名、例:出張旅費規程〕の改定前と
改定後(案)です。条ごとの新旧対照表を作ってください。
次の4列にしてください。
1. 条:改定前の条番号
2. 旧:改定前の条文
3. 新:改定後の条文
4. 変更の要旨:何がどう変わったかを一文で
条文を1文字ずつ全文照合し、追加された条・削除された条も
含めてください。文言だけの修正か、金額や日数など内容そのものの
変更かも分かるように書いてください。「変わった条だけ挙げて」と頼みたくなりますが、変わっていないことの確認も対照表の役目です。全体を対象に照合するよう指示に含めておくと、変更なしの条も表に残り、抜けが後から見つかりにくくなります。
2. 渡すもの
渡すのは、改定前の規程本文と、改定後(案)の規程本文の2つのファイルです。PDF・Word・テキストなど、開ける形式であれば構いません。同じ規程を条ごとの改定案として何度もやり取りするなら、プロジェクトにその規程専用のフォルダを作り、最新版を入れ替えながら使うと、毎回添付し直す手間が減ります。
社内規程は多くの場合、社外に出せない扱いの文書です。添付する前に、この規程が社外秘に当たるかどうかを社内の取り扱い基準で確認してください。また、附則や別表に特定の職員名・個人の給与額が書き込まれている規程もあります。条文の変更点を読み解くだけなら、氏名や個人の数字は仮の表記に置き換えたコピーで十分です。
対照表をWord文書として出したいのに会話の中の表だけが返ってくる場合は、設定の「Capabilities」で「コード実行とファイル作成」をオンにしてください。プランによる既定の違いはアーティファクトのレッスンにまとめてあります。
3. 返ってくるもの
4列の表として返ってきます。以下は架空の例です。実在の規程ではありません。
| 条 | 旧 | 新 | 変更の要旨 |
|---|---|---|---|
| 第8条 | 出張日当は日額3,000円とする | 出張日当は日額3,500円とする | 日当を500円増額 |
| 第12条 | 新設なし | 前号の申請は、所属長の承認を経て人事部に提出する | 承認経路の条文を新設 |
| 第15条 | 精算は出張終了後7日以内に行う | 精算は出張終了後10日以内に行う | 精算期限を3日延長 |
金額や期限が変わった条だけでなく、条文の並びが変わって新しく増えた条(この例の第12条)も、対照表には別行として残ります。条ごとの対応づけは、Claudeが条文の内容から読み取った結果です。 どの条とどの条を対応させたかは、次の節の注意点も踏まえて、必ず自分の目で確認してください。
4. 続けて頼むこと
対照表ができたら、同じ会話に続けてもう2つのことを頼めます。
お知らせ文は、そのまま配信せずに担当部署の確認を経てから出します。影響を受ける手続きの一覧も、実際にその書式やマニュアルを開いて、指摘された箇所が本当に古い条文を参照しているかを確かめてから直してください。
5. うまくいかないとき
全文を照合するよう指示していないと見落とす
「変更点だけ教えて」という頼み方だと、表現が少し変わっただけの条や、言い回しは同じでも参照する条番号だけ変わった条が、対照表から抜け落ちることがあります。1節のプロンプトのように、全文を条ごとに照合するよう明示しておくと、この抜けは大きく減ります。
条文の追加・削除で条番号がずれる
条が1つ増えると、それ以降の条番号がすべて1つずつ後ろにずれます。旧規程の第10条と新規程の第10条が、実は別の内容を指しているのに、番号だけを頼りに対応づけると、表の「旧」と「新」が食い違う行ができます。条番号ではなく条文の内容で対応づけるよう頼み、番号だけがずれていて内容は同じ条があれば、その旨を対照表の中で注記してもらってください。
対照表は最後に必ず原文と突き合わせる
対照表は、規程を正式に施行する前提の書類です。ここで作ったたたき台をそのまま社内文書として配ることはせず、条番号・条文・変更の要旨のすべてを、改定前と改定後の原文と突き合わせて確認してください。特に金額・日数・期限といった具体的な数字は、見た目が正しそうでも、原文の該当条を開いて一致するかを目で追う作業を省略しないでください。