失注した商談は、営業日報やCRMの備考欄に理由がひとことだけ残り、そのまま忘れられがちです。四半期の終わりに振り返ろうとしても、案件ごとの記憶はもう薄れていて、何が効いていて何が効いていないのか、結局は感覚で語ることになります。
このレシピでは、手元にある失注案件のメモやCRMから書き出したCSVをClaudeに渡し、理由を分類して件数を数え、次に試す打ち手の案としてまとめてもらう頼み方を紹介します。件数がそろえば、次の四半期にどこへ手を打つかを、感覚ではなく数字で話せるようになります。
ファイル添付。失注案件のCSVやメモをそのまま貼り付けるか、ファイルとして渡す
直近の失注案件の一覧(案件名・金額規模・競合・失注理由のメモ)。分類の枠は先に自分で決めておく
20分
1. 頼み方
そのまま使えるプロンプトです。〔 〕の部分を自分のチームの分類に置き換えて、この後に失注案件のメモやCSVを貼り付けてください。
以下は直近〔何四半期分か〕の失注案件のメモです。
案件ごとに、次の分類のどれに当てはまるか振り分けてください。
〔価格が合わなかった/導入時期が合わなかった/決裁者に響かなかった/競合に負けた/その他〕
分類ごとに、該当件数と代表的な案件名を1〜2件挙げてください。
該当件数が少ない分類は断定せず、「件数が少ないため参考程度」と添えてください。
最後に、この結果から次にすぐ試せる打ち手の案を3つ、
まだ確かめていない仮説として提案してください。
〔ここに失注案件のメモやCSVを貼る〕分類の枠をこちらで指定しているのは理由があります。5節で触れます。複数四半期分をまとめて渡す場合は、案件ごとに四半期や月がわかる列を残しておくと、あとで期間別に絞り込みやすくなります。
2. 渡すもの
このレシピに渡すのは、次のようなものです。
- 直近の失注案件の一覧(案件名・金額規模・フェーズ・失注理由のメモ)
- CRMやスプレッドシートから書き出したCSV
- 決裁者とのやり取りで見えた具体的な理由(あれば)
CRMからそのまま書き出したCSVで構いません。列名や並び順を整える必要はなく、余分な列が混ざっていても、分類に使う列だけを見てもらえば十分です。
決裁者個人の氏名や連絡先、契約金額の細かい内訳までは渡さないでください。 分類に必要なのは失注理由と規模感であって、個人を特定できる情報ではありません。取引先名を出したくない場合は、渡す前に案件Aのような仮名に置き換えます。
3. 返ってくるもの
戻ってくるのは、分類ごとの件数表と、その下に続く打ち手の案です。架空の例で示すと、次のような形になります。
| 分類 | 件数 | 代表的な案件 |
|---|---|---|
| 価格が合わなかった | 4 | A社、C社 |
| 決裁者に響かなかった | 5 | B社、D社 |
| 競合に負けた | 3 | F社 |
| 導入時期が合わなかった | 2 | E社 |
| その他 | 1 | G社 |
打ち手の案(架空の例):
- 「決裁者に響かなかった」件数が最も多いので、提案書の冒頭に決裁者向けの1枚を追加してみる
- 「価格が合わなかった」案件の金額規模を見ると、ある価格帯に集中している。その帯だけ別プランを用意できないか確認する
- 「導入時期が合わなかった」は件数が少ないため、まだ傾向とは言えない。次の四半期でも同じ理由が出るか様子を見る
件数の合計が、渡した案件の総数と一致しているかを確認してください。合わない場合は、分類から漏れている案件があります。この表と打ち手の案は、そのまま四半期の振り返り会議の資料に転記できる形になっています。
これはあくまで架空の例です。実際の分類名や件数は、渡した案件の中身に応じて変わります。
4. 続けて頼むこと
分類ができたら、同じ会話のまま続けて頼めることが2つあります。
競合別に分け直すのは、同じ「価格」という理由でも、相手によって刺さっている弱点が違うことがあるからです。トーク例は、分類を眺めただけでは終わらせず、次の商談ですぐ試せる形に落とすための一手です。チームに配るときは、そのまま台本として使わせるのではなく、営業一人ひとりが自分の言葉に直してから使うよう伝えると定着しやすくなります。
5. うまくいかないとき
件数が少ないのに一般化しない
失注が5件しかない四半期で「決裁者に響かなかったのが2件」と出ても、それはまだ傾向ではありません。プロンプトに「件数が少なければ参考程度と書く」と指示しても、出てきた打ち手の案がその件数に見合わない強い言い切りになっていないか、自分の目で確認してください。件数が増えるまでは、打ち手は仮説として扱います。
分類の定義を先に人が決める
分類をClaudeに自由に考えさせると、四半期ごとに違う切り方の分類が出てきて、前回との比較ができなくなります。分類の枠はチームで一度決めて、以後は同じ枠を使い回してください。 プロンプトの〔 〕部分に自分たちの分類を書いたのはそのためです。新しい理由が出てきて枠に収まらない場合だけ、そのつどチームで枠を見直します。分類の呼び方や粒度をどう決めるかは、チームのリーダーが最初に判断する仕事です。メンバーごとに表現がバラバラだと、この後の集計がうまく機能しません。
顧客名など個人・企業情報の扱い
CRMのCSVには、決裁者の氏名や連絡先、交渉中の具体的な金額まで残っていることがあります。分類に必要なのは理由と規模感だけなので、渡す前に個人が特定できる箇所は仮名に置き換えます。どうしても実名のまま扱う必要がある場合は、設定のデータ管理から会話をモデルの学習に使わない設定になっているかを確認しておくと安心です。CSVの書き出しをメンバーに任せる場合は、渡す前にこの範囲を伝えておくと、個人情報が紛れ込むのを防げます。